医療機器の広告戦略5選!要注意な広告規制のルールもわかりやすく解説
医療機器の販売促進に広告戦略は不可欠です。しかし、医療機器の広告出稿には法律による規制があり、その内容を遵守しなければなりません。
本記事では、医療機器の広告規制を解説するとともに、有効な広告戦略や成功させるポイントを紹介します。正しい広告運用の知識を身につけた上で運用しましょう。
この記事の目次
医療機器の広告は医療機器適正広告ガイドに要注意
医療機器の広告出稿をする際は、「医療機器適正広告ガイド」を遵守する必要があります。
医療機器適正広告ガイドとは、一般社団法人日本医療機器産業連合会によってまとめられた医療機器広告に関するルールブックのようなものです。
内容は厚生労働省が定める「薬機法」がベースとなっています。よって、ルールを守らないと、厚生労働省または都道府県知事から「措置命令」や「課徴金」といった行政処分が下される可能性があるため注意してください。
参照:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
なお、医療機器の広告規制が定められた背景には「消費者を健康被害や不当取引から守る」という目的があります。違反が発覚すると社会的信用を失い、その回復は困難となることをしっかり理解しておきましょう。
医療機器適正広告ガイドの対象範囲|広告の3要件
「どこまでが広告になるのか」と悩む方も多いでしょう。医療機器適正広告ガイドの対象となるのは、以下3つの要件を満たす場合となります。
- 誘引性(顧客に購入意欲を昂進させる意図が明確であること)
- 特定性(商品名が明らかにされていること)
- 認知性(一般人が認知できる状態であること)
参照:厚生労働省「薬事法における医療品等の広告該当性について」
商品販売ページに誘導するWebサイトやチラシ、SNS公式アカウント、インフルエンサーによるPR投稿などは広告と判断される可能性が高いです。
なお、上記の3要件のうちいずれか1つでも欠けていれば広告と判断されない場合もありますが、厚生労働省では断定する表現がありません。最終的には各自治体の判断に委ねられます。
出典:厚生労働省「医療機器の広告に関するQ&Aについて」
医療機器における主な広告禁止事項
医療機器の広告では、主に以下のような禁止事項があります。
- 虚偽・誇大広告の禁止
- 特定疾病症医薬品の広告制限
- 承認前医薬品等の広告の禁止
- 他社製品の誹謗広告の禁止
- 医学関係者等の推薦表現の禁止
- 医療用医薬品等の一般人向け広告の禁止
虚偽・誇大広告とは、事実と異なる表現や誇張した表現を掲載することです。いずれも消費者が誤った解釈をする可能性があるため規制されています。
特定疾病症とは、がんや白血病など、いわゆる難病のことです。高度な専門知識を持つ医師の管理下にないと健康を害する可能性が高いため規制されています。
医療機器は種類別に異なる承認基準が設けられており、承認を受けていないものを広告に利用することはできません。
他社製品と比較して、自社製品の優良さをアピールすることも禁じられています。消費者に誤認を与えて不当な取引を招くおそれがあるからです。
医療機器は品位のある広告が求められており、比較は品位を損なう行為と見なされています。
商品の信頼性を担保するために、医学関係者の推薦コメントを掲載したくなることもあるでしょう。しかし、医学関係者の推薦は消費者に多大な影響を与えます。不当取引の原因となるため、事実であっても掲載はできません。
一般人向け広告の禁止について、医療機器は専門知識のある医師が使用することを前提に製造されています。一般人が使用すると危害が発生する可能性があるため、広告で扱うことはできません。
血圧計や体温計など例外的に認められているものもありますが、医師向けの医療機器は基本的に広告禁止です。
広告規制の限定解除について
医療機器の広告規制内容を見て「これでは何もアピールできない……」と感じた方も多いでしょう。しかし、広告規制には限定解除のルールが定められています。
広告規制の限定解除とは、「消費者が自ら求めてアクセスする情報源については広告規制の対象外とする」というルールです。例えば、自社のホームページやブログは、消費者が自らの意思でクリックしないとたどりつけないサイトが挙げられます。
限定解除が認められるホームページの条件を以下にまとめました。
- 問い合わせ先が明示されている
- 自由診療の内容や費用が明示されている
- 自由診療のリスクや副作用が明示されている
- 患者が求める情報を表示するWebサイトであること
医療機器の広告規制は、消費者を守るために定められていますが、厳しい規制から消費者が本当に知りたい情報を得られないのも問題です。そのため、条件をクリアしている媒体のみ規制解除のルールが定められました。
もちろん虚偽や誇張表現、他社の誹謗中傷など、倫理に反する広告は変わらずに規制されます。ですが、倫理的に問題がなければ広告できる範囲は広がります。
参考:厚生労働省「医療広告ガイドライン(第4 広告可能事項の限定解除の要件等)」
医療機器メーカーに有効な広告戦略5選
医療機器メーカーに有効な広告戦略を5つ紹介します。
- ホームページやブログのSEO対策
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告・アカウント運用
- YouTube運用
それぞれの特徴を解説しますので、気になるものからお試しください。
広告戦略1.ホームページやブログのSEO対策
医療機器の広告は厳しい規制があります。しかし、限定解除の対象となるホームページやブログでは比較的訴求がしやすいです。
ただ、ホームページもブログもアクセスを集める必要があります。多くの競合他社の中から自社を見つけてもらわなければ認知すら獲得できません。
そこで実施したいのが「SEO対策」です。SEO対策とは、検索エンジンの検索結果で上位表示させる施策を指します。医療機器関連のキーワードで上位表示できれば、自然にアクセスが集まるため、ぜひ実施してみてください。広告費もかかりません。
とはいえ、SEO対策は専門知識やノウハウが必要です。多くの競合他社も力を入れているため、最初は専門家にお任せするのがおすすめです。
広告戦略2.リスティング広告
SEO対策は大きな費用をかけずに取り組めますが、成果が出るまで時間がかかります。一般的に半年〜1年はかかるため、待てない方も多いでしょう。
そこでSEO対策と合わせて実施したいのが「リスティング広告」です。リスティング広告とは、特定のキーワードで検索エンジンの上位に表示させる広告を指します。
リスティング広告の主な特徴は、以下の通りです。
- 設定後すぐに上位表示できる
- 広告がクリックされた場合のみ費用が発生する
- ターゲットを詳細に絞って配信もできる
設定後すぐに上位表示できるため、SEO対策で成果が出るまでのつなぎとして活用するのもおすすめです。
費用はキーワードによって異なりますが、1クリック10〜1,000円程度とそこまで高くありません。上限金額の設定も可能です。
また、検索ユーザーの地域・年齢・性別などを詳細に絞って広告配信もできるため、不特定多数に配布するチラシよりも高い費用対効果が期待できます。
広告文の規制に注意する必要はありますが、ホームページやブログへの導線としておすすめの広告戦略です。
広告戦略3.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、医療関連のWebサイトに掲載するバナー型の広告です。
リスティング広告は成果につながりやすい広告戦略ですが、ユーザーに自社が狙うキーワードを検索してもらう必要があります。つまり、顕在ニーズにしかアプローチできません。
しかし、ディスプレイ広告であれば、医療関連のWebサイトに訪れたユーザーに認知してもらえます。潜在意識へのアプローチになるため、直接成果につながる可能性は低いですが、後に必要性を感じたユーザーが自社製品を思い出してくれるかもしれません。
リスティング広告と同じ費用感で出稿できますので、認知拡大や潜在ニーズへのアピールも狙うなら、ぜひ合わせて利用してみてください。
広告戦略4.SNS広告・アカウント運用
近年はSNSを広告媒体として有効活用する企業も増加しています。多くのユーザーを抱えるプラットフォームに広告配信ができるとなれば、認知拡大戦略として利用しない手はないでしょう。
SNS広告もリスティング広告やディスプレイ広告のように、狙うターゲットを詳細に絞って配信できます。1日100円から出稿できるため気軽に実施してみてください。
また、自社アカウントを運用するのも有効です。
- 自社製品の特徴や使用方法を解説する
- 医療関係の最新情報をわかりやすく発信する
- 医療従事者向けのウェビナー参加者を募集する
上記のような投稿をコツコツと継続していれば、自社のブランディングにつながる可能性を高められます。
SNS運用は、専門家のサポートを受けられますので、広告と合わせて実施してみてください。
広告戦略5.YouTube運用
近年はYouTubeを活用する企業も増えています。
SNSでは、比較的短めの動画しか投稿できないため、より詳細な説明をしたい場合にはYouTubeの活用がおすすめです。特に医療機器の使用方法は、短い動画では伝えきれませんし、文字ベースでも理解までに時間がかかります。
YouTube動画なら、ユーザーに対して直感的に製品の特徴や使用方法を伝えられるため、効果的な宣伝が可能です。
また、YouTubeを採用活動に活かす企業も増えています。昨今は人手不足が大きな課題ですが、以下のような「仕事1日密着」の動画を作成することで、魅力を感じたユーザーが応募してくれるかもしれません。
YouTubeはエンタメだけでなく営業活動や採用活動にも使用できます。クリエイティブ面は専門家にお任せすれば問題ないので、ぜひこの機会にご活用ください。
なお、YouTubeは動画広告も配信可能です。医療従事者向けにターゲティングもできるため、合わせて実施を検討してみてください。
医療機器メーカーの広告運用を成功させる3つのポイント
広告戦略の成果を最大限高めるには、以下3つがポイントです。
- 広告のLPにもこだわる
- 仮説や効果検証・改善を繰り返す
- 広告運用の専門家に相談する
ポイント1.広告のLPにもこだわる
LP(ランディングページ)とは、広告をクリックしたユーザーが最初に目にする縦長ページのことです。このLPを通してユーザーに自社製品の魅力を伝えていきます。
しかし、LPが作り込まれていないと、せっかくアクセスしてくれたユーザーも離れてしまうでしょう。
例えば、以下の通りです。
- ファーストビュー(最上部)で目を引くものがない
- 知りたい情報が書かれていない、わかりにくい
- 購入や申し込みボタンがどこにあるかわからない
今は製品も情報も溢れているため、少しでも違和感があると先を読み進めてもらえません。また、同じキーワードでリスティング広告を出稿する企業がいた場合、LPの品質が順位に影響します。
どんなに製品が魅力的でも、それがユーザーに伝わらなければ努力が報われません。LPはこだわって作成しましょう。
ポイント2.仮説や効果検証・改善を繰り返す
広告は、出稿するだけでは不十分です。
成果を上げるには「仮説・効果検証・改善」を繰り返す必要があります。というのも、世の中のニーズやトレンドは絶えず移り変わっているからです。
この変化に対応していくには、広告の成果をまめにチェックして改善していく必要があります。
リスティング広告を例に挙げると、「少し前までアクセスが集まっていたキーワードが突然検索されなくなる……」というのは往々にしてあります。LPについても、「アクセスは集まるが申し込みにつながっていない……」となっているかもしれません。
成果の出ない広告を運用し続けるのは、コストの無駄です。そのため、広告は出稿して終わりではなく、仮説・効果検証・改善まで意識しましょう。
ポイント3.広告運用の専門家に相談する
広告は仮説・効果検証・改善を繰り返すことが大切とお伝えしましたが、自社にノウハウのある人材がいない場合が多いでしょう。
また、医療機器の広告規制は複雑化しており、知識がない状態では法律に抵触していないか不安を抱えたまま運用することになります。もし広告運用に失敗すると、広告費用が無駄になってしまいますし、企業の信頼問題に発展することもあるでしょう。
そのため、広告運用をするなら専門家に相談することをおすすめします。手数料はかかってしまいますが、成果までの時短と社内のリソース節約になるはずです。
ただし、依頼先の選択は慎重に行いましょう。中には、規制に対する理解がない代理店も存在するからです。
実際、広告代理店の従業員が逮捕された違反事例があります。
参考:大阪府警、ステラ漢方従業員ら逮捕ーー代理店含め「大量摘発」の衝撃
このような広告違反事例はたくさん報告されています。代理店へ依頼する際は、医療業界の支援実績があるかを必ず確認しましょう。
医療機器メーカーの広告運用に失敗したときのリスク
医療機器メーカーの広告は規制を遵守しなければなりません。
再三になりますが、あらためて広告運用に失敗(法律違反)した場合のリスクを解説します。
- 措置命令が下される
- 課徴金が課せられる
- 企業としての信用が損なわれる
「措置命令」が下されると、広告の中止、再発防止策の提出などを実施しなければなりません。
さらに、場合によっては「課徴金」が課せられます。課徴金は原則として「違反を行っていた期間(最大3年)×4.5%」です。
最も痛いのが「企業としての信用が損なわれる」ことでしょう。一度失った信用の回復は不可能と言っても過言ではありません。顧客も株主も離れてしまうため、広告を再開しても成果はまず上がらないでしょう。
このように、医療機器の広告出稿には大きなリスクがあります。広告運用は慎重に行いましょう。
医療機器のWeb広告運用ならサイバーホルンへ
医療機器の広告は、大きなリスクがともないます。しかし、自社の経営安定のために広告は欠かせないのも事実です。
そこで、Web広告運用の実施を検討されているのなら、私たちサイバーホルンにお任せください。初期費用は不要、最低契約期間もありません。運用代行手数料のみで承っております。
もちろん、医療業界の支援実績も豊富にございます。LP(ランディングページ)や動画制作など医療機器メーカーのニーズに沿ったクリエイティブ制作も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ:医療機器の広告はルールを遵守して正しく運用しよう
医療機器の広告は、医療機器適正広告ガイド(薬機法)で定められている規制を遵守する必要があります。
この規制は大変厳しいものではありますが、消費者の安全を守るために必要不可欠なものです。「知らなかった」では済まされないため理解に努めましょう。
社内にリソースが限られている場合は、サイバーホルンにご相談ください。規制を遵守した上で最適な施策をご提案いたします。