BLS(ブランドリフトサーベイ)とは?Google広告での調査方法を紹介
広告において、ブランドの認知度や購買意欲がどれくらい向上したかを測るのはとても重要です。
しかし、実際にどのような調査を行えばいいのか分からないという方も少なくありません。
そこで役に立つのが、BLS(ブランドリフトサーベイ)です。
この記事では、BLSの特徴や使用できる媒体、実際の設定方法・活用方法について詳しく解説します。「ブランディング効果を目に見える形で測りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
BLS(ブランドリフトサーベイ)とは?
BLS(ブランドリフトサーベイ)とは、短いアンケートを用いてブランドの認知度・購買意欲を測る調査のこと。商品の購入促進を短期的に図る一般的な広告とは異なり、長い期間を通じて企業・組織へのイメージを広めることが目的となります。
ブランドイメージの向上は、企業にとって他社との差別化・長期的な経営安定に欠かせません。
そこで、BLSを行うことでブランドの認知度などを可視化し、ブランディング広告の課題発見・改善に役立てられます。
ブランドリフトとは広告に接触・非接触のユーザーからブランド認知や購買意向の上昇を測る指標
BLSで調査される「ブランドリフト」とは、広告に接触・非接触のユーザーからブランド認知や購買意欲の上昇を測る指標を指します。
商品・サービスの広告は売上や成約数などでその効果を評価できます。一方、ブランディング施策は定量的な結果が得られず、評価するのも容易ではありません。
BLSでは、ブランディング広告に接触したグループ・接触していないグループを分けて調査を行うため、広告結果が可視化されやすい特徴があります。
ブランドリフトをもとにすることで広告の対費用効果を測ることもできるため、適切な予算策定にも役立つ指標です。
ブランドリフトとサーチリフトとの違い
ブランドリフトと似た言葉に「サーチリフト」があります。
ブランドリフトとの違いは、実際にユーザーへアンケートをとるかどうかです。
ブランドリフトは、ユーザーに直接アンケートしたデータを用いてブランディング広告の効果指標とする反面、サーチリフトでは自然検索数を用いてデータを分析します。
そのため、サーチリフトはアンケートを設定する手間がかかりません。すぐに分析を始められるのが特徴です。
一方で、実際のユーザーの声を聞くことはできないため、ブランディング広告に接触したかどうかは測りにくいというデメリットもあります。
長所短所を比較して、どちらの方法が適しているかを検討しながら調査をしましょう。
ブランドリフト調査の手法2選
BLSの調査は、大きく以下2つの手法に分けられます。
インバーナーサーベイ | リードバナーアンケート | |
---|---|---|
概要 | 広告そのものに解答欄がある | 別ページのアンケートで解凍する |
解答率 | 高 | 低 |
回答の精度 | 低 | 高 |
配信コスト | 低 | 高 |
質問できる数 | 1〜3問(媒体による) | 無制限 |
ここでは、それぞれの手法について詳しく解説します。
インバナーサーベイ
インバナーサーベイとは、広告内に質問がいくつか表示され、それに答えた内容を集計するBLSです。
たとえば、クレジットカード会社のBLSの場合「最近オンラインで見たクレジットカード会社の動画広告を以下から選んでください」などの質問が表示されます。
この質問で広告への接触・非接触を分けたあとブランディングに関する質問を行うことで、広告評価を正しく測ることが可能となっているのです。
インバナーサーベイは、広告そのものに解答欄があることから気軽に回答でき、ユーザーが回答する割合が高い特徴があります。
ただし、広告枠が小さい場合ミスタップによる誤答が出てしまったり、質問できる数が少なかったりと、精度が低くなる可能性がある点には要注意です。
リードバナーアンケート
リードバナーアンケートは、広告のリンクから飛んだ先にあるアンケート専用ページで回答を集めるBLSです。
インバナーサーベイとは異なり媒体による質問数・質問内容の制限がないため、回答ミスが少なく、精度の高い回答を集められます。
しかし、アンケートページに遷移する必要があることからユーザーへの負担は大きく、解答率は高くありません。そのため、十分な調査を行うまでの時間がかかり、配信費用もかさんでしまう可能性があります。
BLS(ブランドリフトサーベイ)に対応した媒体4選
では、BLSはどのような媒体で実施できるのでしょうか。
- Google・YouTubeのブランド効果測定
- Yahoo!のブランド効果測定
- Facebookブランドリフトテスト
- LINE Ads Platform ブランドリフトサーベイ
ここでは、特に利用される上記4つの媒体について解説します。
Google・YouTubeのブランド効果測定
Google・YouTubeでは「ブランド効果測定」という機能を通じてBLSを実施できます。
この媒体で測定できる主な指標は、以下にまとめました。
- 広告想起
- 認知度
- サーチリフト
- 比較検討
- 好意度
- 購入意欲
Googleでは、ユーザーがどのような検索を行ったかといった行動データをもとに、広告への接触・非接触を分けてBLSを行います。そのため、ブランドリフトだけでなくサーチリフトも簡単に計測できるのが特徴です。
また、YouTubeでも対象となる広告動画を視聴・未視聴のグループに分けて行われます。
なお、Google・YouTubeにおけるBLSの予算としては、キャンペーンの金額が国別に指定されています。
日本における10日間の最小予算額は、以下のとおりです。
- 質問1個:15,000USD(日本円で約212万3,743円)
- 質問2個:30,000USD(約423万715円)
- 質問3個:60,000USD(約846万2,623円)
※日本円の金額は2023年12月時点
Yahoo!のブランド効果測定
Yahoo! JAPANでは検索・ニュース・ショッピングなど幅広いネットサービスを展開しており、さまざまなユーザー層から情報を集められます。
BLSを設定すると広告枠にアンケートが表示され、以下の指標を調査可能です。
- 広告想起
- ブランド認知
- メッセージ連想
- 比較検討
- 好意度
- 購入意向
また、Googleと同様に検索データを参照して調査を行い、サーチリフトも実施できます。
ブランドリフト調査・サーチリフト調査はともに広告管理ツールから設定できますが、決められた予算金額を満たさなければなりません。
また、ブランドリフト調査を行うには審査も必要となるため、まずは問い合わせが必要です。
また、BLSとは別に「Yahoo! JAPAN ブランドリフト調査 Measurement Partne」という第三者による審査サービスも行っています。
Facebookブランドリフトテスト
Facebookでは、広告枠内でのアンケートを利用した「Facebookブランドリフトテスト」を実施しています。
主なユーザーの年齢層は40〜60代で、比較的若年層が利用するGoogle・YouTubeやYahoo!とはまた違った層へのアプローチが可能です。
Facebookブランドリフトテストで計測できる指標は、以下にまとめました。
- 広告想起
- ブランドの認知度
- パーセプション
FacebookのBLSでは掲載中のすべての広告キャンペーンに対してBLSを実施できますが、決められた要件を満たしている必要があります。
テストができる最小予算や要件などは国や地域によって変わるため、詳しくは公式に問い合わせしてみてください。
LINE Ads Platform ブランドリフトサーベイ
日本最大のシェアを占めるメッセンジャーアプリ「LINE」の広告プラットフォームであるLINE Ads Platformでも、BLSが設定できます。
日本では幅広い年齢層が日常的に使用しているため、多種多様なユーザーへアプローチできるのが魅力の媒体です。
LINE Ads PlatformのBLSでは、以下の指標を調査できます。
- 助成想起
- 認知・利用経験
- 好意度/興味度
- 関与意向
- 利用意向
- 推奨意向
5歳刻みで調査対象者の年齢層を設定できるため、柔軟なターゲティングができる点も特徴です。
調査費用は、ライトプランで55万円(税抜)、スタンダードプランで100万円(税抜)です。
しかし、「Talk Hand View」という予約型広告では無償プランも用意されています。
Google広告・YouTubeにおけるBLS設定
それでは、実際にBLSを設定するにはどのような手順を踏めばよいのでしょうか。
ここでは、Google広告・YouTubeを例に解説します。
- BLSの利用条件
- BLSの設定手順
- BLSの計測項目
上記の内容について詳しく見ていきましょう。
BLSの利用条件
Google広告・YouTubeでは、BLSを利用する条件があります。
まず、広告の予算合計額が一定の基準を超えていることが条件です。
この最小予算額は国や地域によってことなり、日本では「商品」単位または「ブランド」単位で10日間の最小予算額が以下の表のとおりとなっています。
測定した質問数 | 最小予算額 |
---|---|
1個 | 15,000ドル(日本円で約212万3,743円) |
2個 | 30,000ドル(約423万715円) |
3個 | 60,000ドル(約846万2,623円) |
また、Google広告のホワイトリスト申請もしなければなりません。
ホワイトリスト申請とは、広告を表示するWebサイトなどを広告主側で決めることを指します。ホワイトリスト申請は、Google広告の担当者に依頼しましょう。
これらの条件を満たすと、1〜2週間ほどでBLSのツールが表示されるようになります。
BLSの設定手順
それでは、実際にBLSを設定していきましょう。
まず、BLSの設定ページを開きます。
Google広告アカウントの管理画面上部にある「ツールと設定」を選択し、出てきたメニューの中から「ブランド効果測定」をクリックします。
その後「+(プラス)マーク」を選択して「商品またはブランドを作成」画面が開いたら、任意の商品名・ブランド名を入力し、調査対象にするキャンペーンを選択しましょう。
さらに、ここに新しい調査を追加します。
開始日やアンケートの言語などを設定して、アンケート内容を追加しましょう。
アンケートの質問は「商品またはブランドタイプ」に業種ごとの質問内容があらかじめ用意されているため、参考にするのがおすすめです。
全ての設定が完了したら保存をして設定を完了しましょう。
BLSの計測項目
Google広告のBLSでは、5つの計測項目から最大3つを選択できます。
それぞれ調査する内容・目的が異なるため、調査したい内容に合致するものを選びましょう。
計測項目 | 質問内容例 | 主な目的 |
---|---|---|
広告想起率 | 以下の商品(ブランド)のうち、最近オンライン広告を見たものがあるものはどれですか? | 商品やブランドの名前から広告内容が想起されるか |
認知度 | 以下の商品(ブランド)のうち、知っているものはどれですか? | 商品やブランドの名前を知っているかどうか |
比較検討 | 〇〇ジャンルの商品を購入する場合、以下の商品(ブランド)のどれを選びますか? | 商品やブランドが購入を検討する対象に入っているかどうか |
好意度 | 〇〇ジャンルの以下の商品(ブランド)のなかで、好きなものはどれですか? | 商品やブランドに対して良い印象を持っているかどうか |
購入意欲 | 〇〇ジャンルの以下の商品(ブランド)のなかで、1つだけ買うならどれを選びますか? | 商品やブランドに対して、同じ種類の商品のなかで一番使用したいものかどうか |
BLS(ブランドリフトサーベイ)の特徴
BLSには、大きく3つのメリットがあります。
- 最低出稿金額・期間の条件を満たせば無料でできる
- ブランディング広告の効果を可視化できる
- ユーザー属性ごとに効果測定できる
ここでは、これらBLSの特徴について詳しく解説します。
最低出稿金額・期間の条件を満たせば無料でできる
BLSは、媒体によっては条件を満たせば無料でできるという特徴があります。
たとえば、GoogleやYouTubeでのBLSは、日本の場合は広告の予算合計額が10日間で15,000ドル以上、かつホワイトリスト申請されていれば無償です。
Facebookでも結果の品質担保のため一定の要件があるもののテスト自体は無料、LINE Ads Platformでも一部の広告ではBLSの無償プランが用意されています。
このように、ある程度大規模な広告を出稿していれば無料でブランディング調査ができるのがBLSの魅力です。
ブランディング広告の効果を可視化できる
BLSの価値は、本来可視化が難しいブランディングを定量的に調査できる点にあります。
商品やサービスのPRを行う場合、そのコンバージョンによってキャンペーンの評価が可能ですが、ブランディング広告の場合はその良し悪しを判断する基準がないためです。
中長期的にユーザーの反応を見て評価もできますが、長い時間がかかるため、広告の改善を進めにくくなります。
しかし、BLSではリアルタイムにブランディング広告の成果確認が可能です。
アンケートで実際にユーザーから拾い上げた意見を、広告の接触・非接触に分けて集計するため、一目で広告の成果がわかります。
このように、これまで評価しづらかったブランディング広告に信頼性の高い指標を短期間で与えてくれるのがBLSの特徴です。
ユーザー属性ごとに効果測定できる
BLSでは、ユーザーの属性ごとに効果測定できる点も特徴です。
BLSでは年代・性別などのユーザー属性を分けて、その中で広告に接触したグループ・接触していないグループを作り、ブランドリフトを調査します。
そのため、どの年代に広告効果が薄かったかなど、より細かい指標でブランディング広告を分析可能です。
たとえば、Google広告におけるブランド効果測定データは、ユーザー属性を含むほとんどの表で表示されます。
また、LINE Ads Platformでは配信セグメントを5歳刻みで設定でき、調査レポートも性年代分析軸で細かく分析できるようになっています。
このように、測定できる指標は媒体ごとに異なりますが、どのユーザー層に広告が有効だったのか測れる点もBLSのメリットです。
BLS(ブランドリフトサーベイ)の活用方法3選
それでは、BLSは具体的にどのような活用方法があるのでしょうか。
- PDCAサイクルを回す
- 過去に実施したキャンペーンと比較する
- 費用対効果の低い広告媒体を分析・改善する
上記3つの活用方法について詳しく見ていきましょう。
活用方法1.PDCAサイクルを回す
BLSは、本来可視化しにくいブランディング広告の成果を目に見える指標で算出してくれます。そのため、通常の商品・サービス広告と同じように、結果から課題・改善点を見つけてPDCAサイクルを回せます。
そもそもPDCAサイクルとは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)の頭文字を取った言葉で、業務などを改善していくこと。BLSは、評価(Check)にあたる情報を提供するため、広告を出稿しただけで改善につながらない状況を打破できます。
また、BLSの配信期間は数日〜1ヶ月程度と短期間であることが多いため、素早く改善活動につなげられるでしょう。
活用方法2.過去に実施したキャンペーンと比較する
BLSで集めた数値は、過去に実施した同類のキャンペーンと比較することで広告を評価するという活用方法もあります。これは、広告成果が単純に出たか出なかったかだけでは、具体的な改善には結びつきにくいためです。
キャンペーンを実施する際に毎回BLSで効果を測定すると、どのような広告が効果的なのかがより明確になります。
BLSで広告を都度検証することで、その広告の評価だけでなく、今後行われる同じ規模のキャンペーンで判断材料を蓄積できるのです。
このように、社内の広告評価データを積み重ねるという側面からもBLSは有効な手段といえます。
活用方法3.費用対効果の低い広告媒体を分析・改善する
BLSを活用して、広告媒体ごとの対費用効果を分析・改善することも可能です。
近年の広告は単一の媒体で実施するだけでなく、クロスメディアが主流になっています。
そのため、Googleのリスティング広告に触れたユーザーやYouTubeの動画広告に触れたユーザーなどのように、複数のメディアでBLSを実施することで、媒体ごとの効果改善が可能です。
また、さらに広く見ればインターネット広告だけでなくテレビCM・新聞広告などでも同様に調査を行えるでしょう。
このようなBLSを設定できない媒体では、専門の調査機関への依頼などでブランドリフトの調査が可能です。
まとめ:BLS(ブランドリフトサーベイ)で広告の成果を高めよう
BLSはこれまで目に見えにくかったブランディング広告の成果を可視化し、課題発見や改善につなげられる重要な調査です。
調査結果は今後の広告効果を検証する際にも役立つため、これから行うキャンペーンの質を高める目的としても重要な指標となります。
また多くの媒体では、一定以上の出稿金額など条件を満たせば無料で実施できる場合もあるため、まずは担当者に相談してみましょう。
具体的な活用方法をおさえたうえで、BLSをぜひ有効に使ってみてください。