広告運用のインハウス化とは?知っておきたいメリットや注意点・判断基準を解説
「広告運用を社内で完結させたい……!」
「広告運用のインハウス化したいけど、何から手をつければ良いか分からない。」
広告運用は、打ち合わせからクリエイティブの制作、媒体の設定や出稿など、さまざまなステップがあります。こうした全ての工程をインハウス化(内製化)するのは容易ではありません。
人的リソースやコストがかかるでしょう。とはいえ、内製化すれば、費用を抑えながらノウハウが社外に漏れることなく広告運用できます。
そこで本記事では、広告運用のインハウス化について解説します。
これからインハウス化を検討していきたい方は、ぜひ本記事の情報をお役立てください。
この記事の目次
広告運用のインハウス化とは?
広告運用のインハウス化とは、企画の擦り合わせからクリエイティブ制作、媒体の設定や管理、分析など、あらゆるフローを全て社内で完結させることをいいます。
全て社内で完結できるので、社内のスタッフ以外とのコミュニケーションは発生しません。
しかし、その分コストも大きくなり、人的・時間的なリソースも多く要します。
インハウス化するためには、メリットはもちろん注意点を把握することも大切です。
Web広告運用をインハウス化するメリット
Web広告運用をインハウス化する主なメリットは、以下の4つです。
- 外注費を抑えられる
- 商品やサービスに精通した人が担当できる
- 社内にWeb広告運用のノウハウが蓄積できる
- 自社データを活用した施策を打ちやすくなる
外注費を抑えられる
代理店に以来すると、外注費が発生します。インハウス化することでその費用が必要なくなることが大きなメリットです。
広告の規模を大きくすればするほど、代理店に支払う費用も大きくなります。広告費の規模にもよりますが、外注費の削減は大きなメリットの一つです。
商品やサービスに精通した人が担当できる
社内で広告を運用するため、自社の商品やサービスについて精通した人が広告運用を実施できることが強みです。
商品やサービスだけではなく、事業自体に対する理解がある人が担当することによって、一般的な広告内容ではなく、自社に合ったクリエイティブな施策を実施しやすくなります。
また、広告運用を通して、ユーザー視点で商品やサービスを見ることができ、新たな発見に気づきやすくな可能性があります。
社内にWeb広告運用のノウハウが蓄積できる
代理店に依頼せず、社内で広告運用をすることで、そのノウハウを蓄積することが可能です。
広告の企画、素材やコピーの検討、ツールの活用方法などのノウハウを自社の財産にすることができます。
それらのノウハウを、今後の広告運用に役立てることができるでしょう。
自社データを活用した施策を打ちやすくなる
機密度が高く、外注先へ展開できないような情報でも広告運用に活用できます。
また、社内で広告運用しているからこそ、必要なデータが分かり、より効率的な施策を立案できることもあります。
外注先に全て任せていると、どのデータが有効かの判断が難しく、せっかく良いデータを持っていたとしても展開できないということが発生しかねません。
Web広告運用をインハウス化するデメリット・注意点
Web広告運用のインハウス化には、留意しておくべきポイントもあります。主な3つの注意点を紹介していきます。
- 専門スキルを持った人材の確保が必要になる
- 人材育成できる体制を整える必要がある
- Web広告の新規情報をキャッチアップし続けるのは難しい
専門スキルを持った人材の確保が必要になる
社内で広告運用を実施するためには、人材の確保が必要です。広告運用の専門スキルを持った人材を採用する、または教育・育成する必要があります。
多くの企業において、デジタルマーケティングのスキルを持った人材は不足しているとされています。よって、人材の確保は簡単ではないでしょう。
人材育成できる体制を整える必要がある
人材を育成するためには、それだけ環境を整える必要があります。
- 教育担当できる人材はいるか
- 研修時間は確保できるか
- どのような研修制度にするべきか
人材の育成は、短期的に行えるものではありません。教えつつ実践しながら中長期的に習得していけるものです。
また、スキルの属人化が起こらないように、社内でマニュアル完備も求められます。
こうした体制はすぐに整えられるものではないでしょう。
Web広告の新規情報をキャッチアップし続けるのは難しい
Web広告の情報は、日々アップデートされます。そこで、最新の情報に常に目を向けられ、施策に取り入れることができる情報感度の高さが求められます。
一度上手くいった施策でも、その後何年も同じ方法で効果が得られるとは限りません。
特定の業界のWeb広告の情報に目を向けるだけではなく、他の業界の情報を入手することが有効的です。
しかし、自社商品やサービスについてのみの広告運用をしていると、広告代理店に比べて情報を入手することが難しいでしょう。
広告運用を行う3つのパターン
広告運用の方法は、大きく分けて以下の3つです。
- 完全なインハウス化
- 広告代理店へ依頼
- インハウス化に向けた代理店との伴走
完全なインハウス化
完全なインハウス化は、企画、素材作成、施策運用、分析、改善などの広告運用に関連する全ての業務を社内メンバーで担う方法です。
自社で全て実施するため、社内でコントロールしやすいメリットがあります。
ただし、完全なインハウス化を目指すためには、事前に十分な準備を必要とします。
また、大きな予算感があると、失敗できないといった不安やリスクも感じられるかもしれません。
広告代理店へ依頼
インハウス化とは逆に、全て外注へ依頼する方法です。
広告代理店は、運用のプロフェッショナルであり、実績やノウハウは豊富にあります。そうしたノウハウを落とし込んでくれるため、短期での成果にも期待できます。
ただし、コミュニケーションのコストは少なくありません。
効率的な広告を配信するためには、商品やサービスについての必要な情報展開や、取引先との連携に注意する必要があります。
インハウス化に向けた代理店との伴走
広告代理店との伴走しながら、少しずつインハウス化に向けた動きができるケースもあります。
外注先に全て丸投げするのではなく、一部をインハウス化する方法です。
<Web広告運用のプロセス例>
- 企画
- 素材作成
- 施策運用
- 分析
- 改善
例えば、企画は社内、メディアプランニングは代理店と二人三脚で進めつつ、素材作成や実際の運用は外部に委託するといった体制もとれます。
柔軟な体制がとれるため、少しずつ、インハウス化できる部分を拡大していきながら、無理なく内製化できるでしょう。
広告運用を将来的にインハウス化する手順7ステップ
インハウス化を導入するために必要なステップを一つずつ見ていきましょう。
- 広告運用の目的と目標を整理する
- 必要な人材と導入システムを検討・決定する
- 人材の教育体制を整える
- 運用体制を構築する
- 運用をスタートする
- 運用開始してから効果測定を行う
- 改善を図りながらPDCAを回す
広告運用の目的と目標を整理する
まずは、「なぜ広告運用をする必要があるのか」「広告運用で何を実現したいのか」を明確にし、社内で認識を擦り合わせましょう。
目的によって、運用する広告やチャネル、施策も異なります。そうなれば必要な人材や取り入れるシステムも変わってくるでしょう。そのため、最初に目的を明確化することは、非常に重要です。
なお、目標は数値で測定できるものしてください。実際に運用を開始した後、その施策が正しいのか、改善が必要なのかを判断できます。
必要な人材と導入システムを検討・決定する
目的とゴールが定まったら、Web広告の適切なチャネルや規模も定まってきます。
広告を運用するためには、「どのようなスキルを持った人材を何人確保しなければならないのか」「新たにシステムを導入する必要があるのか」確認しましょう。
事前に必要な予算の確保や、人材の調整が特にインハウス化を進めるにあたり障壁となることが多いです。事前に決定することでスムーズに進められるでしょう。
人材の教育体制を整える
続いて、教育する側の体制作りを進めていきましょう。
教育体制は、指導する側のメンバーはもちろん、プログラムの内容や指針の設定、研修後のフィードバック体制なども当てはまります。
広告運用の基本的な知識から運用に必要な知識、媒体の使い方など、知見やスキルが何かを特定したうえで研修に組み込んでください。
また、個別での面談を行い、理解度チェックまで行えると尚良いでしょう。
運用体制を構築する
広告運用体制を整えましょう。
「どのようにしてどこから人員を確保するのか」「アサインする人材の必須・歓迎スキルをどこに設定するのか」など、をあらかじめ明確にしたうえで、必要な人材を拡充していきましょう。
そして、どのようなスケジュールと規模感で、誰が広告運用を実施するのかを明確にしてください。
社内に運用経験者がいれば、スムーズにアサイン可能ですし、営業をはじめ、デザインなどその他の部門から揃える選択肢もあります。
そのうえで、企画担当やクリエイティブ制作、運用担当者などの配置を設定してください。
なお、イレギュラーが起こった時の対応や再発防止案の設定なども想定しておくことが大切です。
新しい領域を担当するチームになるため、配置されたメンバーが何をすべきかイメージできる状態にしましょう。
運用をスタートする
それでは、目的の設定、計画の立案、教育が完了したら実際に運用を開始します。
目的や、各々の役割についてメンバー間で共通認識が取れている状態を作るために、キックオフミーティングでは必ず共有しましょう。
また、運用を実施していると、日々の業務に集中し過ぎてしまい本来の目的を等閑にしてしまうことが多々発生します。そうならないためにも定期的な確認が必要です。
当初立てた計画に沿って業務を進めるのではなく、目的を達成するためには何が最適かを常に考えて臨機応変に計画を調整しつつ、運用しましょう。
運用開始してから効果測定を行う
実行している施策が適切かどうかを判断するために効果測定は非常に重要です。設定した目標に対し、達成できそうか、改善が必要なのかを常に確認する必要があります。
効果測定を行うためにKPIを設定することも有効です。
KPIとは「重要業績評価指標」のこと。目標に対する達成度合いを計測したりモニタリングするために設定する定量的な指標を指します。
目的、目標に対して適切な指標を設定しましょう。
改善を図りながらPDCAを回す
効果測定の結果を踏まえて、常に改善を実施することが重要です。
Web広告運用は常にデータがアップデートされ、最新の状況をリアルタイムで把握することができます。
その利点を最大限に利用し、状況をモニタリングしながら、臨機応変に改善しつつ運用を実施することが可能です。
ABテストを実施することも有効的です。計画を立て、実行した結果を分析することで、自社にあったWeb広告の方針を特定できるでしょう。
Web広告運用のインハウス導入を判断をする方法
インハウス化を導入するべきか、広告代理店へ外注するべきか判断が難しい場合は以下2点を参考にしてください。
- 外注費と人件費を比較して判断する
- インハウス化可能なチームが構成できるか確認する
外注費と人件費を比較して判断する
外注費が削減できることがインハウス化の大きなメリットでした。しかし、社内メンバーが実施するということは人件費が発生します。
外注費と人件費のどちらが企業にとって費用がかかるかを比較することで、一つの判断材料になります。
一人の従業員を雇うということは、社会保険などを会社が負担する必要があります。一般的に、給与の1.5倍程度を会社が負担すると言われています。
外注費が30万円だとすると、社内では月収20万円の人材を確保することができるということです。
上記の数字はあくまでも目安です。各企業の状況によって変更します。広告代理店へ支払う額が大きくなればなるほどインハウス化のメリットがあるでしょう。
インハウス化可能なチームが構成できるか確認する
広告運用を担うことができる人員を確保できるかが重要です。「専門性が高い領域であるWeb広告運用業務をこなすことができるスキルを持っている人材がいるか」、新しいメンバーを雇うのではなく、社内メンバーから選出する場合は、「その人が担っていた業務は誰が実施するのか」など決めるべき項目が多々あります。
広告運用のインハウスで成果を出すためのコツ
広告運用をインハウス化するためにはさまざまな対応が必要になります。ここで、インハウス化を成功させるためのコツを3つ紹介します。
- 自社の将来像を描いて長期的なゴールを見据える
- 体制は柔軟に変化させながらチーム運用する
- 最新情報はトレンドをキャッチアップできる体制づくりをする
自社の将来像を描いて長期的なゴールを見据える
長期的に、自社が目指すところはどこなのか、そのためになぜ広告運用をインハウス化する必要があるのかを明確にすることが重要です。
目先のゴールにどうしても目が向きやすいですが、将来像を見据えることで、自社に必要なことは何かを適切に判断できるようになります。
また、将来像は社内メンバーと整合することで、インハウス化をスムーズに進めやすくなります。
体制は柔軟に変化させながらチーム運用する
一度決めた体制でも、チームを柔軟に変化させながら運用しましょう。というのも、固定メンバーで運用するとイレギュラーが起こった時のリスクが大きいからです。
もし、担当メンバーが異動や休職などで突然チームから外れなければならなくなってしまった場合、その人しかできない業務があると組織は回りません。
そこで、ノウハウを属人化させない工夫が大切です。突然の事態にも対応できるように、複数人が業務の内容やノウハウを認識している状態が望ましいです。
最新情報はトレンドをキャッチアップできる体制づくりをする
前述したように、Webマーケティングの業界は情報の更新スピードが非常に早いです。業務をこなすことに集中し、最新情報を取り入れることを怠ってしまうと適切な施策を打つことが難しくなってしまいます。
最新情報やトレンドを常に取り入れることができる体制を整えることをおすすめします。
広告運用のインハウス支援ならサイバーホルン株式会社
サイバーホルン株式会社は、広告運用のインハウス支援サービスも行っています。
運用に関する基本的な知見やノウハウも支援しながら、社内に取り入れられます。
運用管理画面を共有しながら、運営者とのコミュニケーションも図れるため、疑問があればすぐに解消できるでしょう。
また、運用状況や成果のレポートの報告もこまめにあり、レポートの形式は企業の要望によってカスタマイズが可能です。
インハウス化を実現するためには、多くのステップを踏む必要がありました。伴走しながら無理なくインハウス化を進めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:Web広告運用は信頼できる代理店との伴走でインハウス化しよう
Web広告運用の完全なインハウス化は、容易ではありません。
コストカットやノウハウの蓄積など、さまざまなメリットはあるものの、「リソースが奪われる」「予算があるため不安がある」などの懸念点もあるでしょう。
そこで広告代理店と伴走しながらインハウス化を進めていくことをおすすめします。
ご自身のビジネスに寄り添ってサポートをしてくれる代理店とともに、理想の将来像に向けて広告運用のインハウス化を進めましょう。