Criteo広告とは?仕組みや配信・設定方法をわかりやすく解説
ユーザーのインターネット利用履歴に基づいて最適化された広告を配信するCriteo広告。サイトへの再訪問を加速させるため、より強力なマーケティング効果が期待できます。
しかし、その設定や運用には一定の知識と経験が必要です。コストをかけた割には、期待する効果が得られない事態になりかねません。
そこで本記事では、Criteo広告の基本的な仕組みから具体的な配信方法まで、わかりやすく解説します。「Criteo広告の活用法を知りたい」「より効果的な広告を出したい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
この記事の目次
Criteo広告とはディスプレイ広告型のダイナミック広告
Criteo広告とは、フランスのCriteo社が提供するダイナミックリターゲティング広告のこと。ユーザーの閲覧履歴や購入履歴を分析しながら、ユーザーの興味や関心に合わせた広告を配信できる特徴があります。
Criteo広告は、一度サイトを訪れたことがあるユーザーを再度呼び戻す効果もあるため、リピーターの獲得にも有効です。
Criteo広告の仕組み
Criteo広告がユーザーにとって、関連性の高いクリエイティブを打ち出せる仕組みを紹介します。
まず、Criteoが広告主のWebサイトやアプリに訪れたユーザーの行動履歴を収集します。
収集する情報は、ユーザーの訪問したページや閲覧した商品情報などです。
次に、収集した行動履歴を分析し、ユーザーの興味関心を把握します。分析には、機械学習などのアルゴリズムを用います。
こうした分析結果に基づき、Criteoがユーザーに関連性の高い広告を配信できます。
Criteo広告の特徴
それでは、Criteo広告の特徴を3つ紹介します。
- Criteo広告ひとつで9割以上の配信面をカバーできる
- 高精度の広告エンジンを活用できる
- ユーザーごとにクリエイティブも最適化できる
Criteo広告ひとつで9割以上の配信面をカバーできる
Criteo広告の提携社数は2万社以上にのぼり、配信先も多岐にわたります。
日本国内における主要な検索エンジンはもちろん、SNSも含む多くの配信先があります。
主な配信可能な媒体は、以下のとおりです。
- Yahoo!
- msn
- 食べログ
- goo
- はてなブックマーク
上記のとおり、多くのユーザーが利用しているサイトの最適な場所に、自動で広告出稿してくれるのがCriteoの最大の強みになります。
中でも他の広告媒体では難しいとされる、Yahoo!へ出稿できるのは大きなポイントです。
Yahoo!は、ショッピングなども含めさまざまなシーンで日本国内で多くの方が利用しているので、広告出稿できるのは大きなメリットです。
高精度の広告エンジンを活用できる
Criteo広告は、高精度な広告エンジンを使用しています。
この広告エンジンは、AIと機械学習によってユーザーの行動学習に長けており、大量のデータを解析しリアルタイムで最適な広告を作成します。
過去の購買データや閲覧履歴、広告クリックパターンから、パーソナライズされた広告を表示できます。
また、広告エンジンはロングテール効果も活用し、ユーザーの関心に合う商品を精確に抽出してユーザーへ勧めるため、最大の広告効果を発揮します。
ユーザーごとにクリエイティブも最適化できる
Criteo広告は、独自の技術を活用してユーザーごとにクリエイティブを最適化します。
各ユーザーの閲覧履歴や関心に基づき、最も訴求力のある商品を自動で選定し、それぞれの特性に合わせた広告クリエイティブを生成するのです。
Criteoは、17兆余りのデザインバリエーションからユーザーにとって最適なものを選び出します。
広告アカウント全体のパフォーマンスを最適化するだけでなく、個々のユーザーに対する広告体験までカスタマイズできます。
レイアウトの最適化まで行うことで、Criteo広告は一貫して高いパフォーマンスを実現しています。
Criteo広告のターゲティングは3種類
Criteo広告のターゲティングには、以下の3種類があります。
- Retargeting(リターゲティング)
- Prospecting(プロスペクティング)
- Customizable(カスタム)
Retargeting(リターゲティング)
リターゲティング(Retargeting)は、過去にサイトを訪れたユーザーを対象として、特定のメッセージや商品を再度広告として提示します。
すでにブランドや商品に一定の関心を示したユーザーを捉え、その関心を再燃させることでコンバージョンへとつなげる役割を果たします。
商品詳細情報の閲覧やカートへの追加など、過去のユーザーの具体的な行動に基づいたピンポイントな広告展開が可能です。
Prospecting(プロスペクティング)
プロスペクティング(Prospecting)は、新規の見込み客を対象として広告を配信します。
Criteoの包括的なデータと先進的なAIが新規ユーザーの行動を予測し、そのユーザーに対してもっとも効果的な商品やサービスを提示します。
これにより広告主は、広告効果の最大化と新規顧客獲得を展開することが可能です。
Customizable(カスタム)
カスタム(Customizable)は、対象となるユーザーを自由に選択できる機能です。
特定の年齢層や地理的位置、購買行動など特定の属性を持つユーザーに対して、パーソナライズされたメッセージを提供するために利用できます。
広告主の目的や戦略に応じて、広告コンテンツやデザインを調整して、特定のユーザーグループに最適な形での訴求が可能です。
Criteo広告の配信フォーマットは2種類
Criteo広告を配信するフォーマットは、以下の2種類です。
- Dynamic ads(ダイナミック広告)
- Adaptive Ads(Adaptive Ads)
Dynamic ads(ダイナミック広告)
Dynamic ads(ダイナミック広告)では、それぞれのユーザーに合わせて広告を最適化し、ユーザーが関心を寄せる商品を表示します。
ダイナミック広告は、個々の利用者に最も関連性の高い商品を自動的に表示する広告です。
データフィードを活用することで、ユーザーの興味や過去の行動に基づいて、精確なターゲティングが可能になり、ユーザーに合わせた多様な商品を提示します。
ダイナミック広告には膨大な数のバナーデザインが存在し、約17兆通りの組み合わせがあるため、広告は常にユーザーの注意を引きやすくなっています。
出典:デジタル広告フォーマット | JP – Criteo.com
Adaptive Ads(アダプティブ広告)
Adaptive Ads(アダプティブ広告)は、データフィードを用いずに配信できるクリエイティブな広告形式です。
ブランドの画像や動画、テキストを、広告スペースに合わせてを個々に設定して、柔軟にバナーを生成できます。
これにより、ユーザーごとに最適化されたクリエイティブを提供し、高いクリック率が期待できるでしょう。
特に広範な商品やサービスを取り扱う場合に、おすすめのフォーマットです。
出典:デジタル広告フォーマット | JP – Criteo.com
Criteo広告の課金方式はクリック課金
Criteoは、広告主からの課金形態としてクリック課金(CPC)を採用しています。広告がクリックされた場合のみに課金される方式です。
一方、Criteo側は配信先への買い付けには、1,000回表示されるごとに課金される形態のインプレッション(CPM)課金を採用しています。
Criteoは自社のAIを使って、高いCTR(クリック率)が期待できるメディアに対して入札を行い、確実に結果を出すような運用を行います。
広告がクリックされない場合、Criteo自体が損をする構造になっているためです。
この構造は広告主にとっては非常に理想的な設計であり、リスクを最小限に抑えつつ、具体的な成果が得られる課金形態と言えます。
なお、CriteoのCPCは20〜30円程度と比較的安いといえます。
Criteo広告の注意点3つ
では、Criteo広告を運用する際の注意点を3つ紹介します。
- AIの機械学習に時間がかかる
- タグ実装が難しく手間がかかる
- 配信禁止のコンテンツがある
AIの機械学習に時間がかかる
Criteo広告は、AIを活用して効率的に広告を配信します。
そのAIが適切に機能するためには、多くのユーザーの行動データを蓄積し、それを学習する時間が必要です。
データ量と学習時間が多いほど、AIのパフォーマンスが上がっていきます。したがって、最適な広告を配信するのに一定の期間と広告費用は避けられません。
Criteo広告は、長期的な目線で取り組む必要があることを認識しておく必要があります。
タグ実装が難しく手間がかかる
Criteo広告の配信には、自社のWebサイトやアプリに「タグ」の設置が必要です。
タグを設置することで、ユーザーの行動データを収集し、AIが学習を行います。
しかし、このタグの実装作業は専門的な知識を必要とし、手間がかかる場合もあります。
特に複数のページで別々のタグを設定する場合は、工程が複雑になり時間もかかるので注意しましょう。
配信禁止のコンテンツがある
Criteoでは、一部のカテゴリーに該当するコンテンツの広告配信を禁止しています。
たとえば、違法な商品やサービス、性的またはわいせつなコンテンツ、暴力的な内容が該当します。
広告を出稿する際は、Criteoの広告ガイドラインを十分に理解して、適切な内容の広告を配信することが求められます。
これらのルールを順守しない場合、広告が配信されないだけでなく、アカウントが停止される可能性もあるので注意してください。
Criteo広告の出稿条件・費用
Criteo広告を出稿するには、以下2つの条件をクリアする必要があります。
- 最低予算として月額50万円を使用すること
- サイト訪問者数が1500UU/日もしくは4万UU/月以上であること
まず、広告予算は最低月額50万円が必要です。
この予算は、Criteoの広告ネットワークを利用する広告主が、広告投稿の結果として十分な利益を得られるように設定されています。
予算節約のために低い広告費で運用すると、広告結果が十分に得られず、意図した効果が得られない可能性があるためです。
さらに、サイト訪問者数が1500UU/日もしくは4万UU/月以上であることが求められます。この数値は、Criteo広告が最大限に効果を発揮するための最低ラインです。
Criteo広告は、行動履歴などを基に訪問者をリターゲティングして広告を配信するため、訪問者数が少なすぎると精度が低下します。
上記の条件は、広告主がCriteo広告を有効活用し、高い効果を得ることを目的に設けられています。
Criteo広告の配信方法5ステップ
続いて、Criteo広告の配信方法を5ステップで紹介します。
- 申し込む
- 商品のデータフィードを準備する
- ロゴデータをCriteo社へ提出する
- Criteoタグをサイトへ設置する
- タグ情報をAIが学習して広告配信が始まる
ステップ1.申し込む
まず、Criteo社へ広告の申込みが必要です。
新規での申込は、こちらのCriteoホームページから行います。
既にCriteo社と取引がある場合は、Criteo社の担当営業へ直接メールで連絡しましょう。
ステップ2.商品のデータフィードを準備する
次に、商品のデータフィードを準備します。
データフィードとは、商品のデータセットのことで、商品名や価格、商品画像のURL、在庫状況などの情報が含まれています。
これらの情報は広告の内容に直結するため、常に最新の状態を保つことが重要です。
データフィードの作成には、CSV形式で提供することが一般的です。
ステップ3.ロゴデータをCriteo社へ提出する
続いて自社のロゴデータをCriteo社へ提出します。
提出したロゴは広告バナーの一部として使われます。
指定された形式やサイズのデータを用意して、Criteo社へロゴを提出しましょう。
ロゴ提出後に、Criteo社からデモバナーが送付されるので、問題ないか確認して返信します。
ステップ4.Criteoタグをサイトへ設置する
Criteoタグをサイトに設置します。
Criteoタグは、Criteo広告を配信するために必要なタグです。
提供されたコードをコピーして、サイトの各ページにCriteoタグを貼り付けます。
タグの実装が完了したら、Criteo社へタグの確認を依頼します。
タグの設定は専門的知識を要する作業なので、自力での作業が難しい場合はCriteoのサポートチームに相談しましょう。
ステップ5.タグ情報をAIが学習して広告配信が始まる
Criteo社がタグ設定の最終確認を行い問題なければ、配信開始です。
AIがタグ情報をもとに学習を始めて、時間経過とともにデータが蓄積されることで、ユーザーへ提示する広告の精度が高くなっていきます。
Criteo広告の運用効果を高めるポイント5つ
では、Criteo広告の運用効果を高める5つのポイントを紹介します。
- データフィードを最新の状態にする
- 商品カラーは複数登録しておく
- AIの学習期間中は各種調整をやめる
- 有効なオプション機能を活用する
- 必須タグ以外も設定する
データフィードを最新の状態にする
データフィードは、Criteo広告における商品情報の基盤となります。
価格変更や在庫状況の更新など、商品に関する最新情報を常に反映させることが重要です。
データフィードを最新にしておくことで、ユーザーに対して正しい商品情報を届けることができ、広告の信頼性も向上します。
これによりクリック率やコンバージョン率が高まり、広告の運用効果も最大化されます。
商品カラーは複数登録しておく
データフィードに商品カラーを複数登録しておくことは、ユーザーにとって商品の魅力を高める要素です。
ユーザーが求めるカラーオプションを表示することで、興味を引きコンバージョン率の向上につながります。
色の種類が豊富であるほど、ユーザーのニーズに合った広告をAIが適切に提供できる可能性も高くなります。
AIの学習期間中は各種調整をやめる
Criteo広告のAI学習に必要な時間を短縮すると、十分にデータを解析できなくなり、配信広告の質が低下するおそれがあります。
そのため、AIの適正な学習期間を確保し、少なくとも広告配信開始後の最初の2週間から1か月は細かな調整を控えるといいでしょう。
また、目標数値を変更するとAIは新たに学習を始めてしまうので、頻繁な変更や大幅な数値調整は避ける必要があります。
有効なオプション機能を活用する
Criteo広告の効果を向上させるには、「バッジ」というオプション機能の活用が有効です。
たとえば、ディスカウントバッジを活用すれば、広告上に「30% OFF」といった割引率を明記して、ユーザーに購買の動機付けを与えられます。
さらに、セール期間中にクーポン機能を使うと、広告にクーポンバナーが加わり、ユーザーに特別感を与えることで、購買意欲を高める効果が期待できます。
必須タグ以外も設定する
Criteo広告で実装するタグは、すべてが必須ではありません。
実際に必須とされるタグは、以下の4つです。
- ローダーファイル
- 訪問タグ
- 商品タグ
- コンバージョンタグ
しかし、必須タグだけでは、Criteoのシステムが最適なパフォーマンスを発揮するのに十分なデータの収集は難しいでしょう。
任意タグも設定することで、より詳細なデータ分析が可能になり、結果として精度の高い広告を配信できます。
したがって、必須のタグに加えて任意タグも必ず設定しましょう。
Criteo広告の導入事例
では最後に、食品業界とアパレル業界におけるCriteo広告の導入事例を2つ紹介します。
nosh(ナッシュ)やURBAN RESEARCHは、ともに人気のブランドです。こうしたサービスが実際に運用して成果を上げているため、注目してみていきましょう。
食品業界の事例
充実したメニューと簡単に注文できる手軽さで人気の宅配冷凍弁当サービスのnosh(ナッシュ)。約7年で累計販売数が6,000万食を突破するなど順調に成長しています。
しかし、広告費増加に伴いCPAが上昇し、コストパフォーマンスが低下する課題がありました。
そこでCriteoの動画広告を導入し、AIエンジンによる対象ユーザーの最適化と効率的な広告配信を実施します。
その結果、CPAは目標数値の約75%程度に抑えられ、CPCも大幅に低減できました。
参照:導入事例:nosh – ナッシュ | JP – Criteo.com
アパレル業界の事例
アパレル大手のURBAN RESEARCHは、EC需要の増加に伴い、独自のオムニチャネル戦略を進め、EC機能の拡充とデジタル広告の強化を行い、EC化を加速させてきました。
EC化の加速には、継続的な新規ユーザー獲得が必要であるため、Criteoの動画広告を採用します。
具体的には、Criteoが持つ既存のオンライン購買データと高度なAIエンジンを用いて、潜在ユーザーに自社制作の動画広告を配信しました。
その結果、以前行ったキャンペーンと比較してCPCを60%削減するとともに、CTRを向上させることに成功しました。
参照:導入事例:URBAN RESEARCH | JP – Criteo.com
まとめ:Criteo広告を上手に活用して売上を伸ばそう
Criteo広告を活用すれば、高精度なターゲティングによりユーザーに最適な広告を提供できます。
クリック率やコンバージョン率の改善も期待できるため、売上アップにもつながるでしょう。
Criteo広告の出稿は設定や管理には多少の手間がかかるものの、大きなリターンを見込める施策です。
「広告の費用対効果を改善したい」「効率的な広告運用をしたい」とお考えの方は、Criteo広告の活用を検討してみてください。