広告トラッキングとは?仕組みやマーケティングでの活用方法を解説
「広告トラッキングとはどのような技術のこと?」
「広告トラッキングのメリットや活用方法が知りたい」
トラッキングは、Webマーケティング施策の効果を高める手法のこと。Web上でのユーザーの行動を追跡し、情報として蓄積する技術を指します。
有効に活用できれば、Web広告配信をはじめとする各種施策を最適化し、費用対効果を高められます。
そこで本記事では、トラッキングの仕組みや種類、メリットについて解説します。デメリットや活用事例も紹介しますので、広告トラッキングの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
Web広告におけるトラッキングとは?
Web広告におけるトラッキングとは、配信された広告に対するユーザーの行動を追跡調査する仕組みです。「追跡」という意味があります。
トラッキングが使われるのは、広告運用に限りません。Webマーケティングにおける一般的な施策の1つで、ユーザーのWeb上での行動を記録・追跡する仕組みとして幅広く活用されています。
Web広告にトラッキングを活用することで、より正確な効果測定が可能となります。広告配信の最適化につなげられるため、有効に活用したい仕組みです。
トラッキングの仕組み
トラッキングにもさまざまな方法・種類があります。
基本的にはサイト・広告に対してアクションを起こしたユーザーに目印をつけ、その目印の動きをチェックすることでユーザーの行動を追跡しています。
トラッキングに使われる代表的な技術が「Cookie」です。Cookieは、ユーザーの情報をブラウザ上に一時的に保存する仕組みで、トラッキング以外にユーザーの利便性を高めるためにも使われています。
トラッキングの目的
では、トラッキングを行う目的を3つご紹介します。
- コンバージョンを計測する
- ユーザー行動を把握する
- 各広告ごとの費用対効果を確認する
コンバージョンを計測する
広告トラッキングによって、コンバージョン数を計測することが可能です。
広告トラッキングでは、広告をクリックしたユーザーのうちどの程度のユーザーがコンバージョンしたのか(CVR)をチェックでき、正確な効果測定が可能となります。
トラッキングは、自社の広告運用でどの程度の成果が出ているのかを把握するために有効な施策の1つです。
ユーザー行動を把握する
トラッキングのもう1つの目的は、ユーザー行動の把握です。
トラッキングによってチェックできる行動は、コンバージョンだけではありません。
Webサイトへの滞在時間や動きなどもチェックできるため、「ユーザーがサイトに対しどのような情報を求めているのか」「どのようなページへのアクセスが集中しているのか」を確認できます。
各広告ごとの費用対効果を確認する
トラッキングの活用には、広告ごとの費用対効果を確認するという目的もあります。
広告ごとにどの程度のコンバージョンが出ているかを確認できるため、費用対効果の高い広告・低い広告をチェックできます。
トラッキングは大きく4種類
Webトラッキングは大きく4種類に分けられます。ここでは、それぞれの仕組みについて解説します。
- ファーストパーティCookie・サードパーティCookie
- ブラウザフィンガープリント
- 広告識別子
- アプリトラッキング
ファーストパーティCookie・サードパーティCookie
Webトラッキングに使われる代表的な仕組みが「Cookie」です。
Cookieは、インターネット上のユーザーの行動を一時的に記録する仕組みで、ユーザーの利便性向上のために利用されています。一度ログインしたサイトのログイン情報が保存されていたり、サイトの閲覧履歴にもとづく広告が表示されたりといった使い方が典型的です。
Cookieには、「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」があります。
ファーストパーティCookie | サードパーティCookie | |
---|---|---|
Cookieの発行者 | ユーザーがアクセスしたWebサイト | 第三者 |
Cookieで管理する情報 | サイト内のアクセス情報 | 複数のサイトを通じたアクセス情報 |
Cookieの活用方法 | サイトを訪れたユーザーの行動チェック ログイン情報などの保存 | ユーザーの趣味・思考の把握 リターゲティング広告の配信 |
ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪れたサイトそのものが発行するCookieです。
ショッピングサイトなどにログインした際、一度ブラウザを閉じて後日もう一度ログインを試みると、IDやパスワードが入力フォームに保存されていた、といった経験がある方は多いのではないでしょうか。この仕組みは、ファーストパーティCookieによって実現されています。
サードパーティCookieは、ユーザーが訪問したサイト以外のドメインによって発行されているCookieです。
たとえば、「サイトA」を訪れた後で「サイトB」を訪れたら、サイトAに関する広告が表示された、といった仕組みで使われています。GoogleなどのサードパーティがCookieを発行しており、サイトをまたいだトラッキングを可能にしています。
サードパーティCookieは、プライバシー保護の観点から規制の動きが進んでいる技術です。実際に、GoogleもChromeにおけるサードパーティCookieの提供を廃止することを予告しており、今後別の技術を用いたトラッキングが進むと予想されています。
ブラウザフィンガープリント
「ブラウザフィンガープリント」は、ユーザーの使っているブラウザを一意に特定する技術のことです。「フィンガープリント」は「指紋」のことで、使用しているOSやデバイスそのものに関する情報をもとにユーザーを識別しています。
ブラウザフィンガープリントは、あくまでもブラウザ・デバイスを識別する技術にすぎません。よって、ユーザー個人を特定できない点は把握しておいてください。
広告識別子
広告識別子は、スマートフォンアプリ内の広告に使われる技術です。各端末を識別するために使われており、端末を一意に特定するのに使われています。
広告識別子はアプリのプラットフォームによって発行されるIDです。Android端末であれば「AAID(Google Advertising ID)」、iOS端末であれば「IDFA(Identifier For Advertising)」と呼ばれる識別子が発行され、トラッキングに活用されています。
アプリトラッキング
アプリトラッキングも、トラッキングに使われる代表的な技術の1つです。スマートフォンアプリの中には、端末の情報にアクセスしてトラッキングする仕組みを備えているものがあります。
例えば、アプリをインストールした際に、端末の位置情報の使用許可を求められた経験がある方は多いのではないでしょうか。
アプリトラッキングは、アプリによるアクセスを許可された情報をもとにユーザーを識別する仕組みです。
トラッキングの計測方法
トラッキングは、サイトやアプリが発行した目印を計測することで成立する仕組みです。ここでは、トラッキングの2種類の計測方法について解説します。
- ダイレクト計測
- リダイレクト計測
ダイレクト計測
ダイレクト計測は、Webサイト内に設置された計測タグをユーザーが読み込んだ際にカウントする仕組みです。
読み込みにタイムラグが発生する場合がありますが、トラッキング用にサーバーを準備する必要がなく、不具合のリスクや運用コストを抑えられます。
ただし、すべてのページ・広告に対して計測タグを設置しなければなりません。よって、工数がかかりやすいというデメリットがあります。
リダイレクト計測
リダイレクト計測は、トラッキング用のサーバーを経由させて計測を行う仕組みです。
読み込みにタイムラグが発生せず、より精度の高いトラッキングを実現できるというメリットがあります。全てのページに計測タグを設置するといった手間は発生しません。
とはいえ、サーバーの維持・管理にコストがかかるほか、不具合が起こった場合には計測できなくなるデメリットもあります。
トラッキングのメリット
それでは、トラッキングのメリットを3つご紹介します。
- 顧客によるサイト内での行動を把握できる
- 効果的なターゲティングができる
- 費用対効果の高い広告に絞って配信できる
顧客によるサイト内での行動を把握できる
顧客がサイト内でどのような行動をとっているのかを把握でき、マーケティング施策につなげられます。
例えば、コンバージョンしたユーザーがどのようなページに遷移しているのかをチェックすることで、どのようなページにコンバージョンしやすいユーザーが集まっているのかを確認できます。
ユーザーの離脱率が高いページを洗い出して修正するなど、サイト全体の最適化にもつなげられるでしょう。
効果的なターゲティングができる
トラッキングを有効活用すれば、より効果的なターゲティングをしながら広告配信ができます。
Web広告において、ターゲティングは成果を大きく左右する要素の1つです。トラッキングによって入手した情報をもとにして、より適切なユーザー層に広告を配信するといった改善策を実施できます。
費用対効果の高い広告に絞って配信できる
トラッキングを上手に活用すれば、費用対効果の高い広告に絞って配信することも可能です。
広告ごとのコンバージョンをチェックし、どの程度の成果が出ているのかを把握できます。
そこで、費用対効果の高い広告だけに重点的に予算を割り当てれば、さらに高い広告成果が見込めるでしょう。
トラッキングのデメリット
ここでは、トラッキングのデメリットを2つご紹介します。
- トラッキング情報を盗まれると個人情報が漏洩するリスクがある
- ユーザーに悪い印象を与える恐れがある
トラッキング情報を盗まれると個人情報が漏洩するリスクがある
トラッキング情報を盗まれると、個人情報の漏洩につながる恐れがあります。
トラッキング情報の中にはユーザーの個人情報が含まれる場合があるため、データの扱いには十分に注意しなければなりません。
トラッキングに伴うセキュリティリスクを把握したうえで、十分な対策を実施しておく必要があります。
トラッキング情報に限らず、ユーザーの情報を扱う企業において、セキュリティ対策は欠かせない施策の1つです。
ユーザーに悪い印象を与える恐れがある
トラッキングの実施によって、ユーザーが悪い印象を抱いてしまう恐れもあります。
トラッキングは、Web上でのユーザーの行動をチェックする技術です。そのため、行動を監視されているような不快感を感じてしまうという意見も珍しくありません。
もちろん、全てのユーザーがトラッキングに対してマイナスなイメージを持っているわけではありません。とはいえ、ユーザーの不信感もあることは、理解したうえで運用する必要があります。
トラッキングのマーケティング活用事例
では最後に、トラッキングのマーケティングへの活用事例について解説します。
- リターケティング(リマーケティング)広告
- オーディエンスターゲティング
リターケティング(リマーケティング)広告
リターゲティング(リマーケティング)広告とは、一度サイトを訪れたユーザーをトラッキングして配信される広告のことです。
特定のジャンルについて検索エンジンを利用してサイトを訪れた後で、そのジャンルに関する広告の表示が増えた経験がある方は多いのではないでしょうか。リターゲティング広告はこのように、ユーザーの行動履歴にもとづいて配信される種類のWeb広告を指します。
リターゲティング広告の配信が可能な広告媒体は以下の通りです。
- Google広告
- Yahoo!広告
- Facebook広告
- Instagram広告
- LINE広告
また、検索エンジンからのサイト訪問だけでなく、アプリの利用やYoutubeなどの動画閲覧履歴を用いたリターゲティング広告も提供されています。
サイトを訪れたユーザーを逃さずコンバージョンにつなげるために活用されており、一般的なWeb広告よりも費用対効果が高い広告です。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングは、オーディエンスデータを使ったターゲティング手法です。トラッキングによって収集されたサイト訪問履歴など、「人」についてのデータを「オーディエンスデータ」と呼びます。
もちろん、個人を特定する情報ではありません。
しかし、このオーディエンスデータを使えば、より刺さりやすい広告を狙ったユーザーに対して配信できます。トラッキングを活かしたオーディエンスターゲティングを上手に使えれば、広告配信をさらに最適化できます。
まとめ:トラッキングを有効活用して広告配信を最適化しよう
トラッキングは、広告配信をはじめとするWebマーケティング施策の最適化に有効な技術です。ユーザーの行動を追跡して情報を集めることで、より適切なユーザー層に広告を配信できたり、費用対効果の高い広告に絞って運用できたりといったメリットがあります。
とはいえ、トラッキングにはデメリットもあり、セキュリティ面やユーザーの印象については注意が必要です。特にセキュリティについては社内の体制を見直し、適切な対策を実施しなければなりません。
トラッキングを有効活用することで、効果的な広告配信が期待できます。上手に活用して、広告配信を最適化しましょう。